河井継之助記念館を出て、国道252号線で金山町へ向かう。
このあたりは、ほぼ只見川沿いの道である。
只見川という川は、明治時代から発電用のダムがたくさんつくられた川だそうで、そのせいなのか、TVなどでみるヨーロッパの川のようなゆったりとした水面が眼下に広がっていた。
会津川口駅前で車を止め、食料を買い込む。
走っていればJAのスーパーマーケットくらい見つかるだろうと思っていたが、期待は裏切られ、駅前の古式ゆかしい食料品店で夕食用のレトルトカレー、朝食用の牛乳、ソーセージなどを買い込み、同じく駅前にあるベーカリーで食パンを買って、沼沢湖へ向かう。
■ 月曜日の沼沢湖
沼沢湖にいくには、只見川を離れ、ごりごりとつづらおれの坂道をのぼらなけばならない。坂道を上りきると、椎名誠記念館があったり、美術館があったりする(平日は休館だけど)文明世界がひろがっているのだが、薄暗い坂道を上っていく感じが、なんとも俗世間を離れる感じで、すがすがしくもあり、心細くもある。
ものすごく暇そうな管理事務所で手続きをして、キャンプサイトへ。
到着したときはだれもいなかったので、炊事場と便所にほどよく近い場所に居を構えることととする。
わりと手際よくテントを組み立て、道具類なども配置。

我がキャンプ道具類の購入の基本的なポリシーは、新潟県産のグッズをなるべく選ぶというものである。
なので、むしゃくしゃして衝動買いしたsnowpeak製品と、スーパーセンターなどで適当に購入したCAPTAINSTAG製品によって大部分が構成されている。
実際並べてみると、道具にこだわるストイックなソロキャンパーなのか、ファミリーキャンパーなのか自分でもよくわからなくなる品揃えである。
ともあれ、一通りセッティングが終わったので、事務所でもらった割引券をもって、山を下りたところの早戸温泉の日帰り温泉施設つるの湯へ向かう。
■ 早戸温泉つるの湯は秘密基地風のたたずまい
車をとめ、建物の入り口へ向かうと、何故かエレベーターの入り口しかない。
どうも只見川に降りていく谷の斜面に、建物がたっているらしく、3Fから入場して1Fで受付し、入浴という仕組みになっているらしい。
ひなびた温泉街にいきなり、近代的なエレベーターの乗降口があるのでなんとも秘密基地風で面白かった。
只見川の水面を見下ろしながら入浴する。
■ 三浦展を沼沢湖畔で読み都市について考える
キャンプサイトにもどると、登山客らしい男性3人組と、バイクでツーリング中らしい若者のテントが建設されていた。
コーヒーを淹れ、持参した三浦展の『マイホームレスチャイルド 下流社会の若者たち』を読む。
三浦展は、高円寺とか吉祥寺で、まったりとカフェとかやっている若者にこそ日本の未来があると主張しているのだが、人気のない沼沢湖畔でそういった話を読んでも、いまひとつ説得力がなかった。
日が暮れてきたので、ヘッドランプの明かりで米を炊き、ボンカレー21をかけて食べる。
夕飯を食い終わると、すっかりとあたりは暗くなった。
日暮れ時~宵の口というのは一日のうちでもっとも人恋しくなる時間のようで、そういう時間に一人で暗闇の中で煮炊きしていると、発作的に強烈な孤独感に苛まれる。
そういったややパニックめいた気持ちにじっと耐えていると、やがてウソのように孤独であることに慣れてしまうのだが、ああいう孤独感は街で一人でぶらぶらしていてもなかなか味わえるものではない。
自分の気持ちのアライメントを整える意味でも、たまにソロキャンプしてみるといいのかもしれない。
三浦展を読み終えたので、テントにこもって、地理学者でもあり民俗学者でもある千葉徳爾の『新考 山の人生』を読みながら就寝。
夜中に、巨大な虫がテントに進入してくる悪夢などを見る。
標高が高いだけあってかなり寒かった。
■ スリルとサスペンスの国道352号
翌朝は、食パンを焼いて朝食を済ませ、9時くらいまで読書する。
工事でもしているのか、湖沿いの道をトラックが激しく行き来し、のんびり本を読んでいるのが申し訳ない雰囲気になってきたので、撤収。
会津坂下から磐越自動車道で新潟へ向かうのが最短だが、あまり面白くないので、南下して昭和村の「からむし工芸博物館」をみて、檜枝岐村から国道352号で小出に戻るルートをとることにする。
からむし工芸博物館では、いままで漠然と高級な麻みたいなイメージでいたからむしが、実はとても奥深いものであることを知った。
とくに、会津~新潟県中越地方との関係の深さを考えさせられた。
国道352号は、わが心の怖い道ベスト3に入るスリリングな道で、特に奥只見湖沿いの箇所が日本の景色とはおもえない印象であった。
落石防止のためにコンクリートで塗り固められた谷筋を、3回くらいいったりきたりしなくてはならないところはファンタジー映画にでも出てきそうな雰囲気だった。
銀山平からシルバーラインという、これまた映画に出てきそうなトンネルだらけの道を通って湯ノ谷村に出、しばらく走って、ようやく国道17号に出ることが出来た。
2桁の国道はとても安心感があるわ。
そんなこんなで、結局小出から出発して、小出に戻る奥会津ソロキャンプ紀行は、なかなか刺激的なものでした。
と、紀行文の続きを書いていたら、アルビレックス7-0で磐田に大敗。
とほほ、ですなぁ。
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